記 憶





ときどき頭に浮かぶイメージが、自分のかつて見た夢なのか、映画だったのか、あるいは小説なのか錯綜してしまってわからないことがよくある。
 
なんかそれらは、常に甘美な思い出というか、くすぐったいような感覚をともなって眼前に起ち現れてくる。でも、むろんそれは鮮明なイメージとして甦ってくるのではない。紗がかかったような、薄いモザイクがかかったようなほんとうに曖昧な微かな香りのように、仄かに匂い起つのだった。
 
だから、なおさら甘美に思われるのかもしれない。見えそうで見えない遠いイメージを掴もうとすればするほど遠退いてゆく。近づいてきたかと思うとまたすぐに、するりと身をかわして逃れて行ってしまう。

そして、それよりも更に曖昧で甘美な思い出がふわりと舞い降りてくることがある。
それは、イメージですらなくその輪郭さえつかめない、ただの記憶なのだ。だが、確かな記憶の戸籍として鮮明に甦り、脳のある部分を占有して再生が試みられるものの、そこには記憶のコアらしきものがあっても所詮コードであって、ボクにはとうてい読み取れるものではない。

なにかとっても優しい心温まるような、というか、とってもウキウキするような、胸がちくちく痛むような、そんな恋の訪れの予感みたいな本当に甘美な記憶として、その記憶の形骸だけが心に降りてくる。
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# by veo | 2006-08-22 02:01

ジョン・スコフィールド



ぼくがなぜジョン・スコフィールドを好きかといえば、フレーズは固よりあのアウトしてゆく感覚がたまらないからだ。

ジョン・アバークロンビー、パット・メセニーと他にも素晴らしいギタリストは星の数? ほどいるものの、此方から彼方へと自由無碍に往来することの出来得るしなやかな感性をもってして初めて可能となるトーナリィティ(調性)を、敢えてぎりぎり感じさせないような、音の取捨選択によるアドリヴは、あたかも「イキッぱなし」状態を想わせる。

でも、それはあくまでも「冷めた」イキッぱなしであって、夏の花火のように鮮やかに潔く一気に散ってしまうものではない。

むしろ彼のギターは、アウトするが故に摩訶不思議な浮遊感を醸し出していはいるけれども、ウネウネとどこまでも地を舐めるかのように這いずりまわるのだ。

むろん、なにものにも束縛されないが如き自由度の高さを感じさせるのは、一切の規制がないということではない。

真の自由は、枠があるからこそ成り立つのであって、実はアウトしてゆくためには中心となるトーナリィティの存在が欠かせないわけだ。

てなことをバルトークを聴きながら、考えた。
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# by veo | 2006-05-08 23:20 | 音楽

イヴイブに寄せて。

いや、マジにご無沙汰していました。
それでも、訪ねてくださった方も何人かいらっしゃっていて
びっくり。
知らぬ間に、もう12月もあと少しで終わりですね。
なんか、歳をとると月日の経つのがやけに早く感じませんか?
実は、色んなことに手をだし過ぎてしまい、このざまです。
創作は、続けているのですがちょっと長いものを書いていて
短いものを書く余裕がありません。
当分は、ただの独り言に終始しそうです。
で、ネタがないので…
困った時の音楽ネタ?
ぼくはいつも作業しながらPCで音楽を聴いているのですが、
そのline upをば。
お茶を濁すってことで。へへへ。


Sonic Youth - Rain On Tin
Spencer Davis Group - Keep On Running
Free - Wishing Well
Curtis Mayfield - Tripping Out
Chase - Get It On
Wishbone Ash - Everybody Needs A Friend
David Bowie - Starman
Mike Stern - All Heart
John Lennon - Happy Christmas
Eric Clapton - Lay Down Sally
Moody Blues - Dawn Is A Feeling
The Band - Tears Of Rage
Weather Report - Birdland
Wishbone Ash - Persephone
Bread - If
Bread - The Guitar Man
Les Dudek - I Remember
The Moody Blues - Nights In White Satin
Brahms - Symphony No 3
Tesla - Love song
Brahms - violin concerto in d
GregHowe - LaVillaStrangiato
Jeff Beck - Thelonious
Michel Polnareff - Gloria
Curtis Mayfield - Stone Junkie
Stevie Wonder - I just called to say
PFM - Maestro della voce
Renaissance - I Think Of You
Mountain - Theme For An Imaginary Western
Orb vs. Pink Floyd - Echoes
Al Green - Ain't no sunshine
Kenji Sawada - kimi wo nosete
Bad Finger - Without You
Michel Polnaref - Tout Tout Pour Ma Cherie
Yes - Heart Of The Sunrise
Carmen Maki & Oz -watashi ha kaze
Yes - Siberian Khatru
Eric Clapton, Derek And The Dominos - I Looked Away
Tangerine Dream - Phaedra
Paul Desmond & Jim Hall - Theme From Black Orpheus
Joao Gilberto - Sorriu Para Mim
monochrome set - the jet set junta
Strawbs - The Hangman And The Papist
Leon Russell - A Song For You
10cc - I'm Not In Love
Colosseum - Lost Angeles
Larry Carlton - Room 335 Live
Wishbone Ash - Warrior
Led Zeppelin - Achilles Last Stand
Masayoshi Yamazaki - Hoshi ni negaiwo
caravan - Somewhere in your heart
Area - Deus Ex
Joao Gilberto - Go On (Siga)
beggars opera - hobo
Janes Addiction - Three Days
Gentle Giant - Playing The Fool
John Abercrombie & John Scofield - Four on Six
Joao Gilberto - Malaga
Altan - King of the Pipers
Chuck Mangione - Consuelo's Love Theme
Nirvana with Courtney Love - Violet
Pat Martino - All Blues
Santana - Eternal Caravan Of Reincarnation
Joe Sample & Crusaders - Nica's Dream
Yes - Roundabout
Jim Hall - Concierto De Aranjuez


というわけなのですが、実は某日記からの再録でふ。ごめんね。
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# by veo | 2004-12-23 01:25 | 音楽

ぼくのイヴ。

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ぼくがPCの電源を落としていつものようにベッドルームに入ってゆくと、綾はまだ起きていてケータイの画面を見つめながら、なにやら深刻な内容の文面でも打っているのか表情ははっきりと見て取れないけれど、その真摯な様子は伝わってきて、こっちまで眠ってはいけないような雰囲気になってしまいおやすみの声すら掛けられないのだった。
 

 とはいっても、ぼくは眠りにきたわけでもないし、ぼくの言う「おやすみ」はまた別な意味のおやすみなのだけれど。


 今夜の綾はぽっちゃり系で髪はワンレンのようだ。昨夜はベリーショートの髪にやたらスレンダーな綾だった。(ちなみにぼくはぽっちゃり系の方が好き)


 声を上げさせないためにもバタフライナイフを先ずちらつかせるのだけれど、今夜の綾はなぜ怖がらないのだろう。見ず知らずの男が独り暮しの女性の部屋に侵入しているのに、である。


 だが、近づいてゆくと綾の歯がカチカチと鳴り出した。どうやら恐怖に声すら上げられないらしい。すぐ楽にしてあげるからね、そうぼくは心のなかで嘯く。


 更に近づいて少しばかり驚いた。今夜の綾は上玉だ。すこぶる付きの美形なターゲットにぼくは気後れすら覚えた。


 隣の部屋から物色してきたタオルで綾を後ろ手に縛る。いつも傷つけないように細心の注意を払ってタオルで両手を縛り上げてゆく。


 その手首から二の腕にかけて、ザラついた感触に驚いて手を止めた。見るまでもなかった。間違いなくリスカだ。生半可ではない夥しい数の傷跡。この子はいったいどれほどの苦しみをくぐり抜けてきたのだろう。この傷のひとつひとつが彼女の苦悩の表出であり、また唯一の逃げ場なのだ。


 そう思ったら涙がこみあげてきた。こんな人形みたいな整った顔の女の子なのに、いったい何を悩んでいるのだろうと、醜いぼくは思った。まるで美女と野獣だ。


 そして、そう思った刹那、ぼくは心に決めていた。


 でも、そう決めてしまったら尚更、彼女が可哀想でならなかった。愛する男の手にかかるならまだしも、こんな見ず知らずの醜い男の手にかかって死ぬなんて彼女が憐れで仕方ならなかった。


 ぼくもじき逝くから。
 ひとりじゃ寂しいだろ。


 そういってぼくは彼女のか細い首に手をかけた。
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# by veo | 2004-07-16 22:52 | 小説

弛緩

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今までお疲れ様でした~~


彼女がどの駅から乗り込んできたのかもう忘れてしまったけれど、車輛に入って
くるなり、右肩から下げていたカーキ色した大きめのバッグを床に置いて口を広
げ、筒状に巻かれた藤色したかなり太めの毛糸が4本入ったポリ袋を詰め込んで
またバッグを右肩に掛けると、光沢を抑えたエンジっぽい色のFのケータイで
メールを打ちはじめた。






ナオトが読んでいる小説のテクストの向こうに「きょう、やっとGAPでボアコート
買った」というメールの文頭のその部分だけが見えた。





彼女はレモンイエローのつるつるした生地のマフラーをしていてコートは浅葱色
だけど袖だけ玉虫色で赤いジーパンに白のスニーカーを履き、なんていう帽子だ
か知らないけれども、つばは短いけれども頭全体がすっぽりと隠れてしまうグレ
イの大きな帽子を目深にかぶっていた。





なぜまたナオトがこんなに仔細に憶えているのかといえば、彼女が直球ど真ん中の
タイプだったからだ。ナオトにとってはこんなに可愛いコはお久しぶりぶりぶりっ
ぶりー! なのだった。





見た瞬間、これは相当ヤバイと直感した。このまま世界の果てまでずっと一緒に
地下鉄に揺られていられたならどんなに幸せだろうと思った。





でも、案の定彼女は恵比寿で降りてしまった。ついていきたかったけれどもスト
ーキングはもう懲り懲りだから、しばらくはやらないと心に決めていたのに、も
うぐらついている自分が本当に情けなかった。






地下鉄が動き出すと、ナオトはプラットホームを歩いているだろう筈の彼女の姿を
未練がましく一生懸命捜した。






しかし、カーキ色した大きめのバッグを持つ女性は見当たらなかったし、鮮やか
なレモンイエローのマフラーも目に入らなかった。







ナオトは首をひねったが、あんまりひとつのことに拘泥しないタイプで、物事を深
くは考えないたちなので、もう別なこと、たとえば新人のアルバイトのコは、爆
乳過ぎてマジヤベーだとか、どうしたらモノにできるかを考えていた。






ところで、くだんの女のコはというと、地下鉄に乗ったときからジロジロとねば
つくような視線を感じていて、あまりにもキモかったので、一旦恵比寿で降りて
隣りの車輛に移っていた。







彼女は今、そのキモい体験を友達へのメールに書き綴っているところだった。







彼女のケータイはツーバイトで六千文字書けるので余裕で、あることないことガ
ンガンキーを叩いていた。多少妄想癖があるのかもしれない。







でさ、そいつの目がホントいやらしくてさ、なんていうの、視姦だっけ?そんな
感じで舐めるようにヒトの身体を見てるの。もうキモすぎだっつーの。でね、そ
のうち乗り込んで来た人たちに無理やり押されたみたいな感じで、だんだん近付
いてきて、混んでるのをいいことに身体をくっつけてきたんだよ。オシリに前の
部分を密着させてくるわけ。もうサイテー最悪な男だよ。







でもね、声が出ないんだ。キモすぎて後ろを振り返ることもできない。






するとね、ソイツ調子に乗ってとんでもないことやりだすんだよ。








なんかね、汚いのを直接当ててグリングリンしてくるんだ。そしたらさ、もうア
タシ、さっきまでのキモいとかそうゆうのふっとんじゃって、キレまくったんだ
知らないうちにバッグからカッター出してにぎってた。







で、カッターの刃を長く出して、後ろを振り向きざま、アタシのオシリに押しつ
けてたそいつの汚らわしいモノめがけて、めくら滅法カッターふりまわしてやっ
た。









ざまあみろだよね?
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# by veo | 2004-07-08 22:53 | 小説

innocent

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天の川



きみは誰のこと思って泣いているの?


その頬を伝う涙はなに?


胸がはりさけそうなくらい哀しいんでしょ



わかるよ



思いっきり泣きなよ






でもさ



せめてデートしてるときは



彼のこと思い出してほしくなかったよ



スクリーンを眺めても



オープン・カフェでも



遊園地でも




きみはずぅっと



遠くのほうを見つめているね







その哀しい眼差しは



きみには似合わないと思うけど



頬を伝う涙があまりにも



美しくて




ぼくは不謹慎にもその涙に見とれていたかもしれない




ごめんね



きみが苦しんでいるのに








でもさ



でも





もうそろそろ



気づいてくれないかな





胸がはりさけそうに哀しいのは





きみだけじゃないんだってこと
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# by veo | 2004-07-07 23:37 |

violet

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星は見えました。天の川がどれだか解りません


宇宙の彼方で一番星が瞬きはじめ



眠たげな公園のざらついた花崗岩の壁に




陽光の残滓が深紫の光となって密やかに舞い降りてきたとき



不意に背後から自分の名を呼ばれたような気がして振り返った




むろん そこには誰もいやしない




きみの声で名を呼ばれたはずなのに
 



気づけばきみの声など知るわけもない





きみの名前さえしらないのに




どこにもきみはいない





真っ暗闇のなかでぼくはただ 寒さに打ち震える
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# by veo | 2004-07-07 23:14 |

イチゴはうめえよ ただ食えよ

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この言葉を
鈴木セイジュン先生から
戴いたのは
なにを隠そう
松田優作なのですた



正しくは


『一期は夢よ ただ狂え』
なのですけれど
あっちゃんが
独り言のように
呟いたときには


イチゴはうめえよ
ただ
食えよ


みたいに
聞こえたのでした


でもでも
イチゴ

一期も
ともに


人生やら
生涯
と考えてみるならば


まんざらはずれてもいないと
思ったのでした


つまり
イチゴはうめえよ ただ食えよ
というのは


人生は
愉しいものだよ


だからひたすら
楽しみなさい


そんな意味になると思われますね


一期は夢よ ただ狂え
の意味も


人の生は
儚いものなんだから
思いっきりやりなさいっ!


てな感じがしますね
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# by veo | 2004-07-07 20:49

midi

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こんぬつは。


要請があったわけでもないのに多国籍軍への参加
ふざけんなといいたい。



えっと。


ところで、midiのことなのですが…。


実は、愛しているのかもしれません。


えっと、あのauに
歌メロとかいうのありますよね?


あの発想は凄いと思うんですよ
しかし、と同時にですね、まったく何もわかっちゃいねーな
と思うのであります。


というのも、ケータイにはケータイならではの良さがあるわけで
着信で唄をうたわれてもなぁ、と思うんですよ。


まぁ、私だけかもしれませんがね。
むろん、ホンモノは本物であって素晴らしいと。
でも、ケータイでは異なった形でまた愉しみたいんですよ。


Midiは、Vocalが打ち込みという、ま、すべてがそうなんですが、
私なんかは、そこに魅力をかんじちゃうんですね。メロディだけという…。


元唄を知っているからこその、楽しみなんだけれども。
わかってもらえますか?
なんとなく、わかる?


なんかオブラートにくるんだような
ワンクッションおいたような
うまくいえないんですけれどもね。


オルゴールのやつってあるじゃないですか?
あれ好きなんだけれど、とにかく直接じゃないところが
いいんじゃないかな。


なんかそのぶん深みが生まれるような…。
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# by veo | 2004-06-21 23:43 | 音楽

OD

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え?



え、実は私はguitaristでもありまして。


こうして、keyを叩くのが好きなのも
フレットを押さえることにも通ずるわけでして。


指を使うのは、老化現象対策?
にもよろしいようで。


でもとにかく、タイピングは気持ちええどすえ。


3月のアタマから、体調を崩してしまい、ずっと
たいへんでしたが、やっと咳もおさまってきて
微熱も下がり、生きてるっていいなと思えるように
なってきました。


食欲もなくって、今回は本当にもう治らないんじゃないかな
と思いましたが、いまこうして健康で生きていられることに
ほんとうに感謝します。


人生において、一番大切なものは健康以外のなにものでもないと
痛感しています。



ところで、職場に新しい仲間が増えたのですが、
彼は自分の表現手段として映像、それもドキュメントをやりたいとの
ことらしくって、ちょっと面白いひとです。


むろん、ぼくよりも若いんだけれども
音楽なんかもマニアックなものが好きなようで
CD-RにぼくのPCのジャンルが滅茶苦茶なmp3を
目いっぱいいれて焼いてあげたら
喜んでいましたっけ。


こんなのを聞いてるなんて尊敬しますだって。
ほんまかいな?


で、なぜか、彼はぼくに気を許してくれたのか
drugとかの話になって、ほとんどのdrugをためしたらしく
ちょっとびつく~りしてしまいました。


ま、ミュージシャン関係も、映画関係もそういったもが手に入りやすくって
ぼくの知っている映画プロデューサーも、部屋にあった白い粉?
が見つかって書類送検されたこともありましたとさ。



で、なんでこんな話をしているのかというと
人間てなんでそんなに自分の身体を痛めつけるんだろう
ってことなんですよ
いや、ただそう思っただけなんだけれど。
世の中のヒトみんな自傷癖があるんじゃないかなんて。





ヒトの身体って
だから、ものすごく耐性が強いんですね。





ま、drugにしても現代人は、もうとにかく
薬漬けなわけだから、あんまり効かないんじゃないのかな
なんて思ったり。


あと。
考えたのは。



やっぱり、芸術関係のヒトってのは、
文学にしても音楽にしても
才能の枯渇ってことが
なによりも怖いことです。


だから、
どうしても色んな切り口で
モノを捉えたいとか
まったく次元の異なる
インスピレーションを得たいとか



drugに依存してしまうんでしょうね。






ということで、ODなんて絶対ぜったい
やめてください!



ぼくらは、与えられたこの人生を
せいいっぱい生きていきましょう。



ぼくもアホはアホなりに
長く茨の道をトボトボと歩いていきます。
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# by veo | 2004-06-20 23:49